更新日:2024/12/04
先日父が亡くなり、喪主として葬儀を執り行いました。
自宅などに遺体安置をする場合は、「ドライアイス」を使用します。
一般的には葬儀社が行ってくれますが、遺族も取り扱いについて知っておいたほうが安心です。
また、葬儀に参列する人も知っておいた方が良いことがあります。
今回はドライアイスの注意事項をご紹介します。
喪主側はもちろん葬儀に参列する人の参考になれば幸いです。
葬儀でしてはいけないことはある?
棺の中に顔を入れないで。
遺体安置でドライアイスを使用する理由
遺体安置でドライアイスを使用するのは、冷却によって遺体が傷むのを防ぐためです。
遺体の状態を元気だった頃のように保つためには、亡くなってから4時間以内に冷却を開始したほうがよいとされています。
その際に、氷よりも温度の低いドライアイスが使われます。
また、日本では亡くなってから24時間以内は火葬を行ってはいけないという法律があります。
そのため葬儀・火葬までの間、遺体を保管しておく必要があります。
ドライアイスの費用目安は?
ドライアイスの費用は、1日1回10kgにつき8,000円~10,000円程度が目安となるようです。
ドライアイスの使用量は、季節や安置しておく期間の長さによって異なりますが、冬場ならば20kg以上、夏場ならば40kg以上となります。
夏場であっても室温を18度以下に保てる環境であれば、ドライアイスの量は冬場と変わらないようです。
私の場合は霊安室に安置しましたが、エアコンは18℃に設定されていました。
ドライアイス代は葬儀費用とセットになっているケースがありますが、最低限の分量(1回分)しか含まれていないことが一般的です。
亡くなってから葬儀、火葬までは2~3日かかります。
遺族のスケジュール、葬儀社や火葬場の都合により遺体の安置期間が長くなる場合もあります。
特に首都圏ではすぐに火葬できない「火葬待ち」が長期化するケースもあるようです。
追加料金が発生するので最初から心づもりをしておきましょう。
遺体安置のためにドライアイスを使う際の注意点
遺体安置をする際のドライアイス設置は、葬儀社のスタッフが行うことが一般的で、遺族が自ら扱うことはありませんが、いくつか注意点があります。
直接触らない
ドライアイスは二酸化炭素を固体化したもので、固体からすぐに気体になります。
このことを昇華(しょうか)と呼びます。
ドライアイスの昇華温度は-78.5℃なので、素手で触ると凍傷になってしまいます。
軍手などをはめて、直接触らないように注意しましょう。
二酸化炭素中毒
ドライアイスは常温に置いておくと、気化して二酸化炭素になります。
二酸化炭素は空気よりも重いので、部屋の下部に溜まっていきます。
そのため、部屋で横たわって眠ってしまうと、二酸化炭素中毒になる危険があります。
棺内(ひつぎない)のドライアイスによる二酸化炭素中毒
消費者庁によると、死亡事故は2020年と21年に宮城、宮崎、沖縄の3県で計3件報告されています。
2件は自宅や葬儀場でドライアイスを敷き詰めた棺の中に顔を入れた状態で発見され、1件は棺の小窓を開けたそばで倒れていたそうです。
詳細は不明ですが、いずれもドライアイスによる二酸化炭素中毒が疑われるとして注意喚起がされています。
二酸化炭素中毒の症状
二酸化炭素は大気中に約0.04%とごくわずかに存在しており、無色無臭の気体で分子量44と酸素より重いため、密閉空間では蓄積しやすいという特徴があります。
二酸化炭素を吸入した場合の身体症状について、以下のように記載されています。
濃度 | 症状 |
0.5% | 1 日8時間、週40時間曝露の際の許容濃度 |
3.0% | 短時間曝露許容濃度:呼吸困難、頭痛、めまい、吐き気 |
4.0% | 脱出限界濃度(30 分以内に、脱出不能な状態あるいは不可逆的な健康被害を きたすことなく脱出できる限界濃度のこと) |
5.0% | めまい、頭痛、錯乱、呼吸困難 |
8~10% | 激しい頭痛、発汗、目のかすみ、ふるえ 5~10分で意識消失 |
30% | ほとんど即時に意識消失 |
棺の中に顔を入れないで
通常、ドライアイスブロックはお腹の辺りにを2個、顔の横に2個置かれます。
棺内に二酸化炭素が滞留し、高い濃度となっている場合、顔を近づけて息をすると、二酸化炭素が高濃度に存在する空気を吸入してしまう危険性があると考えられます。
葬儀は非日常的で、ドライアイスが昇華して二酸化炭素が充満していることの危険性が認識できていない状況です。
万一気分が悪くなったら、すぐに棺から離れ、異常があれば直ちに119番通報しましょう。
二酸化炭素中毒まとめ
棺内(ひつぎない)のドライアイスによる二酸化炭素中毒の危険性をご紹介しました。
二酸化炭素濃度が30%を超えると、ほとんど即時に意識消失し死の危険性があります。
消費者庁と国民生活センターは「棺の中には高濃度の二酸化炭素がたまっているので、吸い込まないよう、安置されている遺体にお別れを言う際には棺の中に顔を入れないで」と呼びかけています。
ドライアイスを使用するときは、室内の換気を十分にし、万が一に備えて複数人で見守るようにしましょう。
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