
更新日:2026/03/11
沖縄本島南東の公海上空で、中国空母「遼寧(りょうねい)」から発艦したJ-15戦闘機が航空自衛隊F-15に対して2度のレーダー照射を行った。
この行為は単なる偶発的な接触ではなく、数と近代化で優位に立つ中国空軍が、日本の防空識別圏において存在感を誇示する戦略的メッセージと捉えられる。
防衛省は「危険な行為」として抗議したが、中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射が初めて公表された事例である点は、日中間の空軍力バランスが新たな局面に入ったことを示唆している。
数で押す中国と質と練度で対抗する日本。
その構図の中で今回の事件は、偶発的衝突リスクと空軍力の違いを改めて浮き彫りにした。
この記事では事件の概要と日本と中国の空軍力の比較をまとめました。
ニュースを見る時の参考になれば幸いです。
レーダー照射事件の概要

2025年12月6日、沖縄本島南東の公海上空で、中国空母「遼寧」から発艦したJ-15戦闘機が航空自衛隊F-15に対して2度レーダー照射を行った。
防衛省は「航空機の安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為」として中国側に強く抗議し、再発防止を申し入れた。
被害は確認されていないが、航空機への照射が公表されたのは初めてであり、偶発的衝突リスクが高まる深刻な事態とされる。
中国戦闘機の能力
J-15

●J-15(艦載機): Su-33戦闘機をベースとして開発された艦上戦闘機。
最大速度マッハ2.4、作戦半径約1,500km。PL-12/PL-15空対空ミサイルを搭載。
空母「遼寧」「山東」から発艦可能。
J-10C

●J-10C: AESAレーダー搭載の第4世代機。長射程PL-15で優位を狙う。
J-20

●J-20: 中国初の第5世代ステルス戦闘機。
長距離迎撃・制空を目的に数百機規模へ増強中。
航空自衛隊の主力機
F-15J/DJ (イーグル)

●F-15J/DJ: 最大速度マッハ2.5、航続距離約4,600km、作戦半径約1,000km。
20mm機関砲、AIM-120など米国製ミサイルを搭載。
スクランブルの主力。約200機が配備されています。
F-2A/B(バイパーゼロ)

●F-2: 米国のF-16をベースに日米共同で改造開発した戦闘機。
主任務は対艦攻撃。
大型レーダー搭載、ASM-2対艦ミサイル運用可能。
F-35A/B(ライトニング II)

●F-35A/B: 第5世代ステルス機。
最大速度マッハ約1.6、航続距離約2,200km。
25mm機関砲、空対空レーダーミサイル、空対空赤外線ミサイル
F-35Aは、F-4戦闘機の後継として導入された最新鋭の主力戦闘機で、平成29年度から三沢基地に配備。
最新センサー融合能力を持ち、「いずも」型護衛艦で艦載運用も可能。
F-35A:39機(三沢・小松基地)
F-35B:3機(新田原基地)
✈️ F‑15J/DJ vs J‑15(中国)スペック比較表
| 項目 | F‑15J/DJ(日本) | J‑15(中国) |
|---|---|---|
| 開発元 | 米マクドネル・ダグラス → 三菱重工ライセンス生産 | 中国・瀋陽飛機公司(Su‑33ベース) |
| 初飛行 | 1972(J型は1980年代配備) | 2009(2012年運用開始) |
| 用途 | 制空戦闘機(陸上基地) | 艦載戦闘機(空母運用) |
| 全長 | 約19.4 m | 約22.3 m |
| 翼幅 | 約13.0 m | 約14.7 m(折り畳み可) |
| 高さ | 5.6 m | 5.9 m |
| 空虚重量 | 約12,700 kg | 約17,500 kg |
| 最大離陸重量 | 約30,800 kg | 約33,000 kg |
| エンジン | F100‑PW‑220(約11,300 kgf ×2) | WS‑10 系(約12,800 kgf ×2) |
| 最大速度 | Mach 2.5 | Mach 2.4(公称) |
| 航続距離 | 約4,600 km(フェリー) | 約3,500 km(増槽使用) |
| 戦闘半径 | 約1,000〜1,200 km | 約1,000 km前後 |
| レーダー | 旧型:機械式 改修型:AESA(APG‑82相当) | AESA(J‑15T/DT) |
| 兵装搭載量 | 約7,300 kg | 約12,000 kg |
| ハードポイント | 9〜11箇所 | 12箇所 |
| 主な空対空ミサイル | AAM‑4B / AAM‑5 / AIM‑120 | PL‑15 / PL‑12 / PL‑10 |
| 運用環境 | 陸上基地(長滑走路) | 空母(スキージャンプ/CATOBAR) |
| 強み | 信頼性・実戦データ・速度・航続距離 | 搭載量・艦載運用・最新ミサイル |
| 弱み | 艦載不可・機体設計が古い | エンジン信頼性・稼働率・重量過大 |
(中国側は公称値に不確実性がある点に注意)
■ F‑15J/DJ の強み
- Mach 2.5 の高速性能(J‑15より速い)
- 航続距離が長い(日本の防空任務に最適)
- エンジン信頼性が非常に高い
- AAM‑4B(アクティブ電子走査レーダー誘導)という強力な国産ミサイル
→ 防空迎撃に特化した“空の番犬”
■ J‑15 の強み
- 搭載量が多い(最大12t)
- PL‑15(射程200km級)など最新ミサイル
- 空母運用が可能(中国海軍の主力)
→ 空母打撃群の“長距離攻撃機”
🎯 総評(役割が違うため優劣は状況次第)
- 領空防衛・迎撃戦 → F‑15J が有利
高速・航続距離・信頼性・AAM‑4B の組み合わせが強い。 - 空母からの遠距離攻撃 → J‑15 が有利
搭載量と艦載運用能力が大きな武器。
中国 vs 日本 空軍力比較
| 項目 | 中国空軍 | 航空自衛隊 |
|---|---|---|
| 戦闘機総数 | 約3,370機 | 約370機 |
| 主力第4世代機 | J-10C, J-11B, J-15 | F-15J, F-2 |
| 第5世代機 | J-20(数百機) | F-35A/B(42機、147機体制へ増強中) |
| 空母艦載機 | J-15(遼寧・山東・福建) | F-35B(いずも型改修中) |
| 強み | ・数的優位 ・近代化速度 ・長射程ミサイル | ・練度・質が高い ・米国との共同運用 |
| 弱み | ・パイロット練度不足 ・整備体制の課題 | ・数的劣勢 ・基地集中リスク |
事件の意味と今後のリスク
- 「2回」の重み: 別機体に対する断続照射は偶発ではなく意図的行為と解釈されやすい。
- 偶発衝突リスク: 火器管制レーダーは射撃準備段階で用いられるため、緊張を高める。
- 空母機動の存在感: 遼寧を中心とした艦隊が太平洋へ進出し、実戦的訓練を伴う。
- 日本の課題: 数的劣勢を補うため、F-35導入・基地分散・米国との共同運用が不可欠。
FAQ(よくある疑問)
Q1. レーダー照射はなぜ危険なのか?
レーダー照射の中でも「火器管制レーダー」は射撃準備段階で使用されるため、照射を受けた側は「攻撃の前兆」と受け取る可能性がある。
偶発的な衝突や誤認による交戦リスクを高めるため、国際的に危険行為とされる。
👉 一般人に例えるなら、背後から拳銃を突きつけられている状態に近い。
まだ引き金は引かれていないが、銃口が自分に向けられているため、心理的圧力は極めて強く、 いつ撃たれてもおかしくない緊張感が生じる。
Q2. 公海上空での行為は合法ではないのか?
公海上空での飛行は国際法上自由だが、武器使用に直結する挑発的行為は安全慣行を損ない、外交抗議の対象となる。
今回も防衛省が「危険な行為」として中国側に強く抗議した。
Q3. 被害はあったのか?
航空自衛隊機や隊員に物理的な被害は確認されていない。
ただし心理的圧力や偶発的衝突リスクは高まっている。
Q4. 過去にも同様の事例はあった?
「艦艇対艦艇」のケースでは、2013年に中国艦艇が海自護衛艦へ火器管制レーダー照射した事例がある。
また、艦艇から航空機への事例としては、2018年、日本海で韓国駆逐艦が海自P-1哨戒機に照射。
中国軍による航空機への照射が公表されたのは初めてです。
Q5. 中国と日本の空軍力の差は?
中国は戦闘機総数で約3,370機、日本は約370機と数的に大きな差がある。
中国は第5世代機J-20を数百機規模で配備、日本はF-35を42機保有。
日本は練度と米国との共同運用で質的優位を維持しているが、数的劣勢は明確。
Q6. 今後のリスクは?
中国が「常態化」すれば、数で押し切る戦術が現実化する可能性がある。
日本は基地防護・分散運用・装備更新が急務となる。
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20XX年、尖閣諸島沖で海上自衛隊と中国海軍が衝突!!
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まとめ

今回のレーダー照射事件は、中国が数と近代化で優位に立つ空軍力を背景に、日本の防空識別圏で圧力を示したものと捉えられる。
日本は練度と質で対抗しているが、数的劣勢を補うための装備更新と運用改革が急務。
事件は単なる挑発ではなく、日中間の空軍力バランスが新たな局面に入ったことを示す象徴的な出来事として考えられる。
👉尖閣諸島の領土問題にしろ、台湾有事にしろ、何がきっかけでどう動くかは予測不可能。
「政府としていかなる事態にも対応できるよう体制を整備することは当然」であり、後は中国とどこで折り合いを付けるかが問題。
・ブロガー:2021年9月ブログ開設
・フリーランス:2021年早期辞職し、サイドFIRE






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