更新日:2023/01/17
松の内も過ぎ、正月気分も抜けてきた頃でしょう。
ところであなたのお家には、「鏡餅」お供えしていますか。
鏡餅とは、大小の丸いお餅2個をひと重ねにしたものです。
「月(陰)」と「日(陽)」を表し、歳神様にお供えする神聖な食べ物とされていました。
「鏡開き」とは、お正月の間に歳神様にお供えしていた鏡餅を下げていただく儀式のことです。
歳神様の宿る鏡に見立てた餅を開くことで年神様をお見送りし、
さらにお餅を食べることで歳神様の恩恵を体内に取込み、
新しい生命力が授かると言われています。
今回は「鏡開き」について解説します。
今年も鏡餅を美味しく頂いて無病息災を!
鏡開きはいつなの?
1月11日か20日のところが多いね。
鏡開きの意味は?
鏡開きの意味は、鏡餅を開いて年神様の恩恵をいただき、力を授かることです。
鏡餅を飾り、鏡餅を下ろして食べるまでが一連の行事です。
鏡開きでは刃物は使用しません。
これは、その昔刃物を使ってお餅を切ることが武士にとっての切腹を連想させたから、
神様の依り代(よりしろ=居場所)であったお餅に刃物を向けるのは縁起でもないから
といった理由が挙げられます。
このため鏡開きではお餅を「切る」「割る」とは言わずに、
末広がりを意味を持つ「開く」という表現が使われるようになりました。
鏡開きはいつ?地方によって違う?九州は?
鏡開きは一般的に毎年1月11日に行います。
江戸時代初期、1月11日は商家の仕事はじめの日にあたり、
使用人や得意先にお餅をふるまっていたそうです。
11日の「蔵開き」に合わせ、1月11日が定着したようです。
そのため、「松の内」が過ぎても、鏡餅はそのまま飾ったままにして問題ありません。
関西地方など1月15日までが松の内のところは、1月20日に鏡開きを行うようです。
九州では、関東と一緒で松の内は7日までとされ、鏡開きは1月11日に行います。
また、1月4日、1月15日にお供えを下ろす地域もあります。
※彦根城で鏡開き 切り分けた鏡餅を観光客らに振る舞う – 彦根経済新聞
鏡開きのやり方
鏡開きには年神様の依り代として飾ってあった鏡餅を下げて、木槌で開きます。
開いた鏡餅はさらに手で食べやすいサイズに分けます。
この時、細かくなった小片も捨てないように気を付けましょう。
最後に開いた鏡餅を残さずいただいて、鏡開きは終了です。
鏡餅がないときは?
一人暮らしの場合など、そもそも飾り餅をお供えしていない時はどうするのか。
そういうときは、鏡開きの日に市販の切り餅を食べましょう。
あくまでも鏡餅はしきたりなので、出来ることを出来る範囲で楽しみましょう。
お餅はどうやって食べるの?
鏡開きで開いたお餅は乾燥して固くなっているので、とてもそのままでは食べられません。
小豆に「魔除け」や「邪気払い」の意味があり、ぜんざい(お汁粉)にするのが一般的ですが、
お雑煮やかき餅も良いですね。
我が家では「ぜんざい」にして食べますが、ここでまた一つの疑問が浮かびます。
「ぜんざい」と「おしるこ」は同じもの?違いはあるの?
「ぜんざい」と「おしるこ」の違いは?
多分地域ごとに呼び方は異なると思うので、ざっくりと違いを説明すると、
関東では、汁が多いものを「おしるこ」、汁が少ないものを「ぜんざい」と呼ぶ。
関西では、こしあんを使ったものが「おしるこ」、粒あんを使ったものが「ぜんざい」。
どちらも汁気のあるもの。
九州生まれ九州育ちの私の感覚では、粒あんで汁気のあるものを「ぜんざい」と呼びます。
「ぜんざい」の語源
ぜんざいの語源は、次の2つの説が有力とされています。
仏教用語の「善哉(よきかな)」
日本では、室町時代にぜんざいを初めて食べた僧侶が、あまりの美味しさに
「善哉(よきかな)」と言ったことが始まり。
出雲の神事で使われた「神在餅(じんざいもち)」
一般的に旧暦の10月は、
「神無月」(かんなづき)(かみなしづき)と呼ばれています。
ですが、出雲だけ「神在月」(かみありづき)と呼ばれていることをご存知ですか?
これは、出雲に全国の神々が旧暦10月にお集まりになるという伝承から、
出雲だけ「神在月」と呼ばれるようになったと言われています。
出雲の神社では、神様を迎える「神迎祭(かみむかえさい)」、
そして「神在祭(かみありさい/じんざいさい)」、
神々をお見送りする「神等去出祭(からさでさい)」を行います。
全国から出雲に集まった神様は何をするのかというと、旧暦10月11日から17日にかけて、
人々の幸せのご縁を結ぶという「神議(かみはかり)」という会議をするらしい。
※佐太神社の神在祭は文献上もっとも古くから執り行われており、
且つ祭の次第も約500年前の記録とほぼ同じ内容で執り行われています。
「神在餅(じんざいもち)」は、
島根県の出雲で行われる神在祭(かみありさい/じんざいさい)での御供えとして使われていたもの。
神在餅の「じんざい」が出雲弁でなまって「ずんざい」、
さらに「ぜんざい」になって京都へ伝わったとされています。
※神在餅はこちらからお取り寄せできます。興味ある方はどうぞ。
ぜんざい発祥の地
「おしるこ」の語源
江戸時代に広まった「餡汁子餅(あんしるこもち)」から始まった。
「餡汁子餅」から「汁子」「汁粉」と呼び名が変わり、
現在の「おしるこ」に至ったと考えられています。
樽酒も鏡開き?
酒樽の蓋を開く神事も「鏡開き」と呼びます。
この場合の「鏡」は、酒樽の丸い上ぶたのことを指します。
「鏡開き」には、吉野杉の樽に菰(こも)を巻いた菰冠(こもかぶり)を用いるのが慣わしです。
樽酒のサイズの呼称として、18リットルは「1斗樽」、36リットルは「2斗樽」、
72リットルは「4斗樽」とも呼ばれます。
お酒は「升(ます)」でいただく。
1合で180ml入るので、2斗樽で200杯分、3斗樽で400杯分の計算になります。
4斗樽を使い、上げ底をして、中に1斗や2斗の酒を入れる場合もあるそう。
神前に供えられたあと、「お下がり」としてそのお酒がふるまわれ、
酌み交わすことで神様の力を分けてもらう…という考え方は、鏡餅と同じです。
鏡開きまとめ
鏡開きについて、由来や作法など基礎知識を解説しました。
鏡餅などの正月飾りは12月28日までに飾るのがしきたり。
門松・注連縄は「松の内」まで飾る。
鏡餅は「鏡開き」まで飾ります。
それぞれのしきたりに従って、1月4日、11日、15日、20日に鏡開きを。
鏡開きしたお餅を食べる事で、新しい生命力を授かると言われています。
お餅はぜんざいやおしるこにして最後まで残さず食べましょう。
鏡餅を頂いて今年も運気アップ!!
この一年が健康で良い年でありますように。
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