
更新日:2026/02/25
公正証書遺言を作りたいと思っても、「実際いくらかかるの?」という疑問は多くの方が感じるところです。
特に、財産額によって手数料が変わる仕組みは少し複雑で、全体像がつかみにくくなりがちです。
さらに、公正証書遺言は自筆遺言と違い、作成時に証人2人の立ち会いが必須です。
証人を自分で用意するか、専門家に依頼するかによっても費用が変わります。
この記事では、公証役場で必要となる費用を公式基準に基づいてわかりやすく整理しました。
また相続が揉める本当の理由と、遺言が必要になる具体的なケースについても紹介します。
人がいつ死ぬかは予測できません。
この記事が「遺言」を考えるきっかけとなれば幸いです。
遺言が必要なケースは?
遺言は「特別な人だけが作るもの」ではありません。
一般の家庭でも、次のような場面では遺言があるかないかで相続のスムーズさが大きく変わります。
1.配偶者に確実に財産を残したいとき
法律どおりに相続すると、配偶者と子どもが共同で相続するため、配偶者だけに全額を残すことはできません。
「自宅だけは妻に残したい」「全額を夫に相続させたい」などの希望がある場合、遺言が必須です。
2.子どもがいない夫婦の場合
子どもがいない場合、相続人は次のように変わります。
親が存命の場合
・配偶者:2/3
・親:1/3
の割合で相続します。
親がすでに亡くなっている場合
・配偶者:3/4
・夫(妻)兄弟姉妹:1/4
となります。
どちらの場合も、配偶者だけが全財産を受け取れるわけではないため、遺言が重要です。
3.相続人同士が揉めそうなとき
疎遠、再婚、前妻(前夫)との子がいるなど、少しでも不安がある場合は遺言があるだけでトラブルを大きく減らせます。
4.特定の人に多めに渡したい・渡したくない
介護してくれた子に多めに渡したい、音信不通の子には渡したくないなど、法律では実現できない分け方は遺言が必要です。
5.内縁関係(事実婚)のパートナーがいる
内縁の妻・夫には相続権がありません。
遺言がなければ財産を受け取れません。
6.相続人がいない
相続人がいない場合、財産は最終的に国庫に帰属します。
寄付したい団体がある場合などは遺言が必要です。
相続が揉める最大の理由は?
最大の理由は、不動産(特に土地・建物)を公平に分けられないからです。
相続トラブルの多くは「土地・建物をどう分けるか」 が原因で起こります。
不動産の扱い=相続の核心という家庭が多いのです。
● 不動産は「分けられない財産」
現金のように等分できず、
- 誰が住むのか
- 売るのか売らないのか
- 売るならいくらで売るのか
- 売却代金をどう分けるのか
で意見がぶつかります。
● 評価額が人によって違う
不動産には客観的な値段がなく、価値の認識がバラバラになりやすい。
● 「住んでいる人」と「住んでいない人」で利害が対立
典型的な揉め方です。
- 長男:実家に住んでいる → 売りたくない
- 次男:住んでいない → 売って現金で欲しい
遺言があれば不動産トラブルを防げる
遺言があれば、
- 誰に不動産を相続させるか
- 他の相続人には何を渡すか
- 代償金(不動産をもらった人が他の相続人に払うお金)をどうするか
これらを 生前に明確に決めておけます。
結果として、典型的な不動産トラブルを避けられます。
公正証書遺言の作成には「証人2人」が必要
公正証書遺言を作成する際は、公証人+証人2人の立ち会いが必須です。
証人になれない人
- 推定相続人(妻・子など)
- 受遺者(遺贈を受ける人)
- その配偶者・子
- 未成年者
- 公証人の配偶者・親族
証人をどう確保する?
- 自分で信頼できる知人を頼む
- 行政書士・司法書士などに依頼する(1人5,000〜1万円程度が相場)
- 公証役場で紹介してもらうことも可能
※証人費用は公証役場の手数料とは別に必要です。
公正証書遺言の費用はどう決まる?
公証役場の手数料は、「受取人ごとの財産額」に応じて計算されます。
受取人が1人なら1回の計算、複数人なら人数分を合算します。
基本手数料
| 財産額(受取人ごと) | 手数料 |
|---|---|
| 50万円以下 | 3,000円 |
| 50万超〜100万円以下 | 5,000円 |
| 100万超〜200万円以下 | 7,000円 |
| 200万超〜500万円以下 | 13,000円 |
| 500万超〜1,000万円以下 | 20,000円 |
| 1,000万超〜3,000万円以下 | 26,000円 |
| 3,000万超〜5,000万円以下 | 33,000円 |
| 5,000万超〜1億円以下 | 49,000円 |
| 1億円超〜3億円以下 | 49,000円 + 超過額5,000万円ごとに15,000円加算 |
| 3億円超〜10億円以下 | 109,000円 + 超過額5,000万円ごとに13,000円加算 |
| 10億円超 | 291,000円 + 超過額5,000万円ごとに9,000円加算 |
作成手数料計算例
例:妻に5000万円、長男・次男それぞれに3000万円相続させるといった内容の遺言書を作成する場合、手数料は以下のように計算します。
33,000円+26,000円+26,000円=85,000円
公証役場の手数料以外にかかる費用
●遺言加算:13,000円(財産総額が1億円以下の場合のみ)
●正本・謄本の発行料
- 電子データ:1通 2,500円
- 書面:1枚 300円
●原本が3枚超の場合:1枚ごとに300円
出張作成の場合に追加される費用
病院・施設・自宅など、公証人に出向いてもらって遺言を作成する場合は、次の費用が加算されます。
① 出張加算(手数料の50%増し)
基準表の手数料にその50%が加算されます。
※基本手数料 × 1.5倍 になります。
② 公証人の日当
出張にかかる時間に応じて、日当が必要です。
- 4時間以内:1万円
- 4時間超:2万円
③ 交通費(実費)
タクシー・電車など、実際にかかった費用が加算されます。
専門家に依頼する場合の費用(任意)
| 専門家 | 相場 |
|---|---|
| 行政書士 | 5〜15万円 |
| 司法書士 | 8〜20万円 |
| 弁護士 | 15〜30万円 |
専門家に依頼する場合の費用は、上記が目安となります。
お問い合わせ、参考リンク
公正証書遺言まとめ:遺言は「必要な人のほうが多い」
公正証書遺言の費用についてご紹介しました。
受取人ごとの財産額に応じて決まる法定手数料が中心です。
特に、
- 配偶者に確実に残したい
- 子どもがいない
- 相続で揉めたくない
- 特定の人に渡したい
- 不動産がある
こうしたケースでは、遺言があるだけで相続が驚くほどスムーズになります。
特に、不動産がある家庭では遺言があるかどうかで相続の難易度がまったく変わります。
そして一番大切なことは、遺言は「書けるうちにしか書けない」 という現実です。
- 親が元気なうちに
- 自分が判断能力のあるうちに
ぜひ「家族への思いやり」として「公正証書遺言」をご検討ください。





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