
更新日:2025/06/12
物価高が続くなか、全国各地の「貧相な給食」が時折、SNSで話題になります。
今年4月、福岡市の小学校の給食がX(旧ツイッター)に投稿され、唐揚げ1個の写真に「少なすぎる」「寂しい」と指摘され、批判や話題となっています。
この記事では、からあげ1コの衝撃的な写真だけで終わらず、福岡市の給食費や無償化の動きも交えながら、周辺の事情を深掘りしてご紹介します。
食事はだれにとっても大切なモノ。
主食である米の価格高騰が問題となる今こそ、学校給食を通して日本の食糧事情を考えるきっかけになれば幸いです。
発端となった投稿
福岡市の給食
— アラカブの煮付け (@arakabu_nitsuke) April 21, 2025
もうちょっと
美味しそうになったら
いいなぁ…なんて#福岡市 #給食 #小学校 pic.twitter.com/wnBG7hvGgx
子どもたちの栄養は大丈夫?
福岡市学校給食公社のホームページによると、この献立は、麦ごはん、鶏の唐揚げ1個、春キャベツのみそ汁、牛乳。
唐揚げは1個約60グラム、155キロカロリーを基準に作っていて、「(通常の)2個分くらいの大きさがある」という。
みそ汁も副菜で使用される6種類ほどの野菜が入っており、計620キロカロリー。
1食あたり600キロカロリーの福岡市の基準を満たしていた。
給食で「唐揚げ1個」の理由とは?
福岡市教育委員会によると、調理などの手間を省くために2個分のからあげを大きなサイズ1個にすることで、味付けや揚げる手間を省く狙いがあり、昭和57年からこの形で出しているという。
また給食予算は決められており、年度初めの4、5月の給食は費用を抑え、メニューが控えめになるという事情もあるらしい。
🍚 福岡市の給食費と無償化動向
学校給食は、保護者のみなさまからの給食費と福岡市の負担で実施しています。
※給食費無償化により、令和7年8月以降は保護者の負担は発生しません。
福岡市の給食費(月額・保護者負担)
市立小中・特別支援学校に通う子どもは約12万人。
- 小学校、特別支援学校小学部 :4,200円(1食あたり約243円)
- 中学校、特別支援学校中学部・高等部:5,000円(1食あたり約289円)
給食費完全無償化へ
福岡市は25年度2学期から給食費の完全無償化を予定しています。
現在も給食費のうち物価高騰分の10億3000万円を市が負担しており、完全無償化する場合には約58億円が必要となると試算している。
福岡市の今後の対応
批判を受けて福岡市教育委員会は6月11日の市議会で、検討プロジェクトを設け、改善を図る方針を示しました。
検討プロジェクトは「食育」の専門家や飲食業界で活躍する人など外部の有識者をメンバーに入れ、見栄えも含めて給食の質を向上させるアイデアを募集する予定とのこと。
学校給食の法的根拠
学校給食法第2条では、学校給食の目標について以下の通り定めています。
1 適切な栄養の摂取による健康の保持増進を図ること。
2 日常生活における食事について、正しい理解を深め、健全な食生活を営むことができる
判断力を培い、及び望ましい食習慣を養うこと。
3 学校生活を豊かにし、明るい社交性及び協同の精神を養うこと。
4 食生活が自然の恩恵の上に成り立つものであることについての理解を深め、生命及び自
然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。
5 食生活が食にかかわる人々の様々な活動に支えられていることについての理解を深め、
勤労を重んずる態度を養うこと。
6 我が国や各地域の優れた伝統的な食文化についての理解を深めること。
7 食料の生産、流通及び消費について、正しい理解に導くこと
学校給食摂取基準
学校給食の場合は文部科学省が定める「学校給食摂取基準」に基づき、必要な栄養量が算出されています。
エネルギー・たんぱく質・脂質・炭水化物・ビタミン・ミネラルなどの摂取量が規定されており、1食あたり約600〜700キロカロリーを目安に、1日の必要栄養量の約3分の1が学校給食で提供されるように設計されています。
つまり今回の”唐揚げ1個給食”の見た目は質素でも、「成長期に必要な栄養素はきちんと計算されている」というわけです。
SNSの声から見える世相
昭和57年から提供されていた福岡市の「唐揚げ1個給食」。
それが「令和」の今話題になる or 批判されるのは、2つの側面があると考えられる。
昭和の頃は普通だった唐揚げ1個の給食が「貧相」と批判される程、日本は豊かになった。
もう一つは、米を始めとした価格高騰や実質賃金の低下によって生活水準が下がり、せめて子供だけはきちんと食べさせたいという”親心”。
唐揚げ1個給食まとめ
SNSに端を発した福岡市の「唐揚げ1個給食」を紹介しました。
給食費が物価高騰に追いつかず、理想の献立を作るのが厳しくなっています。
単に栄養を満たしているだけでは批判を浴びる時代になりました。
政府は、子育て世帯の負担を軽減するため、2026年度から小学校の給食費を無償化する方針を示しています。
福岡市の高島市長は2025年2月、国より一足早く、2025年の2学期から小中学校の給食費を無償化にすることを発表。
予算の制約があっても、子どもたちがバランスの良い食事を取れるような環境を作りあげるのは大人の責任。
学校給食はもちろん、どんな人にとっても、食事は美味しく楽しく食べたいですね。
・ブロガー:2021年9月ブログ開設
・趣味:旅行(国内・海外)、食べ歩き、写真撮影
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