2016年全国がん登録「5年生存率」初公表データを徹底解説検診は受けるべき?

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更新日:2026/01/16

2026年1月14日、厚生労働省が「2016年全国がん登録生存率報告」を公表しました。

2016年に新たにがんと診断された人を対象にした「5年純生存率」が、全国がん登録にもとづいて初めて明らかになった節目のデータです。

この記事では、単なる数字の紹介で終わらせず「自分や家族にとって何を意味するのか」「どうすればいいのか」という視点で整理しました。

自分の健康を考える上で参考になれば幸いです。

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先ず始めに:5年生存率と5年純生存率の区別

がんの生存指標にはいくつか種類があります。

その中でも、一般的に知られているのが「5年生存率」、そして全国がん登録が公表している「5年純生存率」です。

5年生存率

一般的にイメージするのは 5年生存率 で、これは癌の診断から5年後に生存しているかどうかをそのまま評価したもの。

死因は区別せず、がん以外の原因で亡くなった場合も「死亡」として扱われます。

5年生存率は がん以外の死因も含めて計算されるため、高齢者が多いがんでは統計上、生存率が低く見える傾向があります。

5年純生存率

一方、全国がん登録が公表しているのは「5年純生存率」です。

純生存率は、がん以外の死亡がなかったと仮定して算出した生存率 で、がんが対象集団の死亡にどれだけ影響したかを純粋に評価する指標。

がん以外の死亡を統計的に補正しているため、がんそのものの治療成績を比較しやすく、年齢構成の違いの影響も受けにくい。

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がんと癌の違い

平仮名の「がん」と漢字の「」の違いは「上皮組織に悪性腫瘍が生じている」かどうかです。

上皮組織は、皮膚や食道や胃等の臓器を覆っている表面の細胞組織を指します。

漢字の「癌」は、この上皮組織ががん化した際に用いられます。

ひらがなの「がん」は、癌(carcinoma)だけでなく、肉腫(sarcoma)・白血病・リンパ腫など “すべての悪性腫瘍” を含む総称です。

カタカナ表記の「ガン」は基本的に使われないので、「ガン」と表記された情報は信憑性に欠けます。

全国がん登録とは

全国がん登録は「がん登録等の推進に関する法律(平成25年12月13日 法律第111号)」に基づき、全国すべての病院や指定診療所から、がんと診断された人の情報(罹患、治療、予後など)を集める仕組みです。

対象開始年: 2016年診断例から全国一律で登録開始

目的: 科学的根拠にもとづくがん対策(治療・予防・検診など)の基盤となるデータを整えること

今回公表された「2016年全国がん登録5年生存率」は、この全国がん登録データをもとに、国立がん研究センターが集計し厚生労働省が取りまとめたものです。

全国がん登録(2016年診断例)

2016年に新たにがんと診断された15歳以上の患者について、主な部位別の5年純生存率は次のとおりです。

主な部位別5年純生存率(15歳以上)

がんの部位5年純生存率(%)
前立腺92.1
甲状腺91.9
皮膚91.1
乳房88.0
子宮体部79.0
子宮75.5
喉頭75.2
子宮頸部71.8
直腸68.4
大腸(結腸・直腸)67.8
結腸67.4
腎・尿路(膀胱除く)66.0
悪性リンパ腫64.4
64.0
膀胱63.4
口腔・咽頭59.8
卵巣58.6
多発性骨髄腫47.2
食道46.5
白血病43.4
37.7
脳・中枢神経系34.7
肝および肝内胆管33.4
胆のう・胆管23.0
膵臓11.8

同じ「がん」でも、部位によって生存率が大きく異なることが一目でわかります。

前立腺がん・甲状腺がん・皮膚がんは90%を超え、高い生存率を示す一方で膵がんは10%台と、部位による治療成績の差が非常に大きい。

小児がん(15歳未満)の5年純生存率

小児がん分類(ICCC分類)5年純生存率
網膜芽腫97.6%
リンパ腫・リンパ網内系腫瘍95.7%
その他特定されない悪性腫瘍90.9%
腎腫瘍90.4%
胚細胞性腫瘍・絨毛性腫瘍・性腺腫瘍90.2%
上皮性腫瘍・悪性黒色腫87.8%
軟部組織腫瘍・その他骨外性肉腫80.9%
白血病・リンパ増殖性疾患・骨髄異形成疾患82.2%
神経芽腫・その他類縁疾患78.5%
悪性骨腫瘍74.2%
肝腫瘍71.7%
中枢神経系・その他頭蓋内・脊髄腫瘍60.8%

厚生労働省の全国がん登録(2016年診断例)では、15歳未満の小児がんについて、国際小児がん分類(ICCC分類)に基づく12分類の5年純生存率 が公表されています。

網膜芽腫(網膜芽細胞腫、retinoblastoma)は97.6%と高い生存率が示されている一方、中枢神経系腫瘍は60.8%と低く、種類による差が大きいことが分かります。

「5年生存率」は何を意味して何を意味しないのか

5年生存率は、ある時期にがん診断された患者さんの集団について、診断から5年後にどのくらい生存しているかを示す統計指標です。

治療の効果や治療成績の「目安」として用いられますが、年齢や他の病気、がん以外の死因などさまざまな要因の影響も含まれており、個々の患者さんの経過をそのまま示すものではありません。

同じ部位・同じステージでも、年齢、体力、治療法、合併症、生活習慣などによって経過は大きく変わります。

さらに、今回の数字は「2016年診断例」の結果であり、現在の治療水準とは異なる可能性があります。

5年生存率は「統計上の集団の傾向」であって、個々人の予後を予測するものではありません

生存率が高いがんの特徴

生存率が高いがんといっても、その理由は部位によって大きく異なります。

ここでは、代表的ながんをいくつか取り上げました。

前立腺がん

前立腺がんは高齢男性に多く、進行がゆっくりなタイプが多いのが特徴です。

  • PSA検査で早期に見つかりやすい
  • 低リスク群が多い
  • 治療選択肢が豊富
  • がん以外の病気で亡くなるケースも多い

こうした背景から、5年純生存率は92%と非常に高い数字になります。

甲状腺がん

甲状腺
甲状腺

甲状腺がんは女性に多く、30〜40代の比較的若い世代でも見られます。

甲状腺がんには「乳頭がん」、「濾胞(ろほう)がん」、「髄様(ずいよう)がん」、「未分化がん」があります。

乳頭がん(約90%)が多く、進行が緩やかな傾向があります。

乳がん

乳がんの生存率が高い背景には、次のような要因があります。

  • 検診で早期に見つかりやすい
  • 非浸潤がん(ステージ0)が一定数含まれる
  • 手術・薬物療法など治療法が確立している

乳がんの5年純生存率は88%と高い数字ですが、これは「乳がんは命に影響しにくい」という意味ではありません。

乳がんは がんがどこまで広がっているか(非浸潤・浸潤)がんの性質(サブタイプ) によって経過が大きく変わるためです。

非浸潤がん(ステージ0)

非浸潤がんは、がん細胞が乳管内にとどまっている状態で、周囲の組織に広がっていません。

  • 転移は極めて低い
  • 治療成績は非常に良好(ほぼ100%近い)
  • 乳がん検診で見つかりやすい

早期発見の恩恵が最も大きいタイプです。

浸潤がん(ステージ1〜)

浸潤がんは、がん細胞が乳管の外へ広がり始めた状態で、血管やリンパ管を通じて転移する可能性があります。

浸潤がんには複数のサブタイプがあり、治療方針や再発リスクはこのサブタイプによって異なります。

つまり、「乳がんは生存率が高い=安心」ではなく、早期発見と適切な治療が重要ということです。

生存率が低いがんの特徴

一方、膵がんや肝がん、胆道がん、肺がんなどは、依然として生存率が低い部位に含まれます。

  • 症状が出にくく、見つかったときには進行していることが多い
  • 外科的に切除できる症例が限られる
  • 有効な治療薬が限られている、あるいは効果が限定的

ここ数年で薬物療法や免疫チェックポイント阻害薬など、新しい治療も次々と登場しています。
「2016年診断例」の数字は、現在の最前線の治療成績を必ずしも反映していない点にご注意ください。

数字を「不安材料」で終わらせないために

1. 自分のリスクと検診をセットで考える

  • 年齢・性別・家族歴・生活習慣等によって、かかりやすいがんの種類は変わります。
  • 生存率が高いがんでも「早期に見つける」ことが前提になります。

たとえば、乳がんや大腸がん、子宮頸がんなどは、検診によって早期発見が期待できる代表的ながんです。

胃がんはピロリ菌感染が主な原因とされ、感染が確認された場合には、除菌療法が推奨されています。

数字を見て不安になるだけでなく、「自分はどの検診をいつ受けるか」を検討しましょう。

2. 生存率は「病院選びの成績表」ではない

国立がん研究センターは、院内がん登録にもとづく生存率集計について「施設間の単純比較で治療の善し悪しを論じることはできない」と明言しています。

  • 高齢者や合併症の多い患者を多く受け入れている病院ほど、生存率は低く見えやすい
  • 病期や患者背景が違うので、数字だけで優劣をつけるのは不適切

「生存率が高い病院=良い病院」と短絡的に考えるのではなく、診療体制や専門性、説明の丁寧さなども含めて総合的に判断する視点が必要です。

3. 「最新の情報かどうか」を必ず確認する

がん治療は、薬物療法も外科手術も放射線治療も、数年単位でアップデートされ続けています。

  • 2016年診断例の5年生存率は、「2016年当時の治療+その後5年間」の結果
  • 2026年時点では、すでに新しい薬や治療戦略が標準になっている領域も多い

ネット上の記事やブログを読むときは、「どの年のデータか」「全国がん登録なのか、特定施設のデータなのか」を意識しておくと、情報の精度を見極めやすくなります。

全国がん登録まとめ

全国がん登録にもとづく2016年診断例の5年純生存率を紹介しました。

日本のがん医療の実態を示す重要なデータです。

数字に振り回されるのではなく、数字の背景を理解しながら「自分や家族にとって何ができるか」という視点で向き合い、「どの検診をいつ受けるか」という行動につなげていくことが大切です。

記事を書いた人 文貴(fumitaka)
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・ブロガー:2021年9月ブログ開設

・趣味:旅行、食べ歩き、写真撮影


 
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