
更新日:2026/06/12
2026年5月19日、ANAは国内線の新運賃体系を導入した。
その最安運賃である 「シンプル」 を巡り、台風による欠航をきっかけに大きな混乱が発生した。
SNSには、
・「予約していたのに座席がないと言われた」
・「オンラインチェックイン開始時点で席が消えていた」
・「代替便を断ったら“自己都合キャンセル”扱いにされた」
といった声が相次ぎ、利用者の不満が一気に広がった。
さらに筆者自身も問い合わせの電話をかけたが、まったくつながらない状態が今も続いている。
この騒動は単なる“台風の混乱”ではない。
新運賃体系そのものが抱える構造的な弱点が、台風欠航によって一気に露呈した と言える。
事前座席指定不可
ANAの新運賃体系は以下の3つ:
- フレックス(最上位):予約時に座席指定可能
- スタンダード(中位):予約時に座席指定可能
- シンプル(最安):出発24時間前まで座席指定不可
オンラインチェックインが始まる 24時間前に初めて座席を選べる 仕組みだ。
この仕様が、台風欠航時に最悪の形で露呈した。
台風欠航で座席枠が消滅
台風で便が欠航すると、後続便は振替客で一気に埋まる。
このとき、
- フレックス
- スタンダード
の乗客は すでに座席が指定済み のため、振替客が増えても座席は守られる。
しかしシンプル運賃は、出発24時間前まで事前座席指定ができないため、
振替客で後続便が埋まり、24時間前の時点で空席がゼロになる
という現象が起きる。
結果として、
- 予約はある
- しかし座席指定ができない
- 空港で「搭乗できません」と言われる
という事態が発生した。
約款(やっかん)運用の問題
通常のオーバーブッキングなら、ANAは
- 協力金(1〜2万円)
- 宿泊費
- 代替交通費
などを提供する フレックストラベラー制度 を適用する。
しかし今回は 天候不良(不可抗力) のため、
- 協力金なし
- 宿泊補償なし
- 代替交通費なし
さらに、
提示された代替便を断ると“自己都合キャンセル”扱いとなり取消手数料がかかる
というケースまで報告された。
これがネットで炎上した「落とし穴」だ。
そして今回、特に影響が大きかったのがシンプル運賃の利用者だった。
シンプル運賃は変更不可で制限が多い上に、さらに事前座席指定が24時間前までできないという特徴がある。
オーバーブッキング時の優先順位
■シンプル運賃は一般客の中で最下位
ANAは優先順位を公表していないものの、 提供サービスと運賃の扱いから“実質的な序列”は明確に読み取れる。
ANA内部の優先順位
- ダイヤモンド
- プラチナ
- ブロンズ
- SFC(スターアライアンス・ゴールド)
- ANAカード会員
- 一般客(ステータスなし)
そして一般客の中では、
- フレックス(最優先)
- スタンダード
- シンプル(最下位)
となる。
つまり、ステータスなし × シンプル運賃 = ANA全体で最も優先順位が低い層と位置づけられる。
台風で真っ先に影響を受けるのは、この層だ。
安い運賃の構造的リスク
ANAの新運賃体系では、安い運賃ほど柔軟性・座席確定・優先順位のすべてが低く設定されている。
特にシンプル運賃は出発24時間前まで事前座席指定ができない ため、これが今回の混乱で大きな影響を生んだ。
これは運賃の安さと引き換えに「振替・払い戻しの優先順位が低い」というリスクを負っているためです。
実践的な回避策
① シンプル運賃を使うなら
24時間前ぴったりにオンラインチェックイン
- 座席が取れればOK
- 「指定できません」と出たら、すでに危険信号
② 遅延が許容できない移動なら
シンプルを避け、スタンダード以上を選ぶ
主要路線の差額は片道3,500〜5,000円程度、往復でも7,000〜10,000円。
スタンダードを選べば、
- 予約時点で座席指定が可能
- オーバーブッキングの影響を受けにくい
- 変更・払い戻しの条件もシンプルより緩い
といったメリットがあるため、選ぶ理由がある差額と言える。
③ ステータスがあるなら
SFC以上ならシンプルでも“ほぼ守られる”。
④ 台風・大雪などの悪天候時は
シンプル運賃の利用を避ける
振替客が大量発生するため、最も影響を受けやすい。
まとめ:安い運賃には“安い理由”がある
ANAのシンプル運賃について解説しました。
シンプル運賃は「最安」だが「最もリスクが高い」
今回の台風欠航で可視化されたのは、
- 事前座席指定が出発24時間前までできないという仕様
- 優先順位が最下位という構造
- 不可抗力時は補償が弱いという約款運用
これらが重なり「予約しているのに飛行機に乗れない」という事態が実際に発生した。
安い運賃には、必ず理由がある。
- 価格
- 柔軟性
- 優先順位
この3つのバランスを理解したうえで、自分の旅程に合った運賃を選ぶことが、新運賃体系の時代を安全に乗り切る最善策となる。
なお、夏休み期間は台風の影響を受けやすい時期でもあるため、帰省や旅行で利用する際は運賃タイプを含めてよく検討しておくと安心です。






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