
更新日:2026/07/04
あなたはパスポートを持っていますか。
外務省は、パスポート取得のハードルを下げるため、2026年7月1日に大幅な料金改定を実施した。
一方で、日本人の海外旅行は総数ベースでは依然としてコロナ禍前の水準に戻っていない。
2025年の年間の日本人出国者数(推計値)は1473万1500人。
緩やかな回復傾向にあるものの、依然としてコロナ前の7割台にとどまっている。
かつては、1〜2年に1度のペースで海外へ行く中間層が存在した。
しかし、その中間層は消え、パスポートを持たず海外へ行かない多数派と何回も海外へ行く少数派に分かれ、二極化が進んでいる。
パスポート発行手数料は史上最大の値下げ
| 区分 | 旧料金(〜6月)窓口 | 旧料金(〜6月)オンライン | 新料金 窓口 | 新料金 オンライン |
|---|---|---|---|---|
| 18歳以上 (10年用) | 16,300円 | 15,900円 | 9,300円 | 8,900円 |
| 18歳以上 (5年用) | 11,300円 | 10,900円 | 廃止 | 廃止 |
| 18歳未満 (5年用) | 11,300円 | 10,900円 | 4,800円 | 4,400円 |
| 12歳未満 (5年用) | 6,300円 | 5,900円 | 廃止 | 廃止 |
2026年7月1日より、日本のパスポート発行手数料が最大で約44%引き下げられ、過去最大規模の値下げとなりました。
10年用パスポートの場合、窓口申請で9,300円、オンライン申請では8,900円で取得できるようになりました。
窓口で申請すると発行手数料として+400円がかかります。
※更新の手間を減らすため、18歳以上は「10年用だけ」に一本化。
※12歳未満の料金区分は廃止
パスポート保有率は急低下
- 2019年(コロナ前ピーク):23.8%
- 2024年:17.5%
日本人のパスポート保有率は、2019年時点の約23.8%から2024年約17.5%まで急低下しており、国民の約8割(5人に4人以上)が所持していない状況です。
値下げ前の段階で、すでに海外旅行の“入口”が縮小していたことになる。
理由は
- 円安
- 所得低下
- 海外旅行の目的の変化
- 国内旅行の満足度上昇
- パスポート更新の煩雑さ
が挙げられる。
アメリカ(約48%)や韓国(約40%以上)、ドイツ(約80%以上)などと比較しても、日本の保有率は先進国の中でも極めて低い水準。
若者は海外に行っていない
一般的なイメージとしては「若者は海外に行っていない」。
正確には、20代男性や他の世代は海外旅行から完全に離れたままで、例外的に20代女性だけが韓国などを中心に圧倒的なアクティブさで海外へ飛び回っているのが現在の構造です。
- 増えているのは20代女性だけ
- 20代男性は明確に減少
- 学生の海外旅行も減少
- 若年層“全体”では出国率は回復していない
海外に行っているのは“若年層の一部=20代女性”だけ。
日本人の海外旅行は「二極化」
海外旅行をする理由が、一般層と20代女性・富裕層でまったく異なる。
一般層
「新婚旅行や退職記念など、一生に数回の記念行事」
一般層にとって海外旅行は
- 人生の節目
- 家族の記念
- 一生に数回の特別なイベント
として位置づけられている。
この層は
- 円安
- 所得の伸び悩み
- 国内旅行の満足度上昇
の影響を強く受けるため、海外旅行の頻度は減少している。
一般層は旅行習慣が途切れたまま戻らず、海外旅行市場から静かに離脱した。
20代女性・富裕層
「自分のアイデンティティや推し活のための、日常の延長線」
この層にとって海外旅行は
- SNSでの自己表現
- 推し活
- 美容・カフェ文化
- 自分の価値観の延長
- ライフスタイルの一部
として位置づけられている。
富裕層は
- 円安の影響を受けにくい
- 長距離・高価格帯の旅行を再開
20代女性は
- LCC活用
- 短距離海外旅行
- 為替に鈍感
→ 海外旅行を継続している。
ファミリー層は「国内の海外風リゾート」へ
海外旅行を諦めた一般ファミリー層は、国内で“海外の代替体験”を求めるようになった。
その結果、国内の海外風リゾートが空前の大活況を見せている。
例:
- 沖縄のビーチリゾート
- 石垣・宮古のラグジュアリーリゾート
- ニセコの国際的スノーリゾート
- ハワイ風・バリ風・ヨーロッパ風のテーマ型リゾート
- 近場で楽しめる“異国風”ホテル・グランピング
国内リゾートでも「二極化」
現在は「インバウンド(外国人)に買い負けないアッパーミドル以上の日本人ファミリー」だけがニセコや沖縄の超一等地を楽しみ、 一般層は近場の異国風テーマリゾートやオフシーズンを狙うという、国内リゾート内でのさらなる二極化が始まっている。
パスポートは必要?
現時点で具体的な渡航予定がなくても、パスポートは保有・維持しておくべき。
パスポートの本来の価値は、日本政府が「この者は日本国民である」と外国政府に対して公式に証明し保護を要請する、唯一の国際身分証明書(渡航文書)だから。
海外旅行は、物価・文化・価値観の違いを体感できる数少ない機会であり、国内では得られない視点を手に入れられる。
行く・行かないに関わらず、選択肢として持っておく価値がある。
パスポートまとめ
2026年7月1日からのパスポート手数料値下げを解説しました。
日本人の海外旅行は、総数ベースではコロナ禍前の水準に回復せず、二極化が進み、分断が生じている。
- パスポート値下げは入口改善にすぎない
- パスポート保有率は値下げ前にすでに低下
- 海外旅行は「一般層 vs 20代女性・富裕層」で分断
つまり、海外旅行の二極化とは、行く層(裕福層と20代女性)がより頻繁に行き、行かない層が完全に離れたままという構造である。
二極化は、今後さらに進む。
だからこそ、海外へ行く側に回るための準備が重要になる。
パスポートを取得し、いつでも海外へ行ける状態を整えておくことが、これからの時代の選択肢を広げる最も確実な方法である。
若いうちに実体験を通じて海外を肌で感じることは、他の何にも代えがたい大きな価値がある。
「時間」はあるが「お金」がない若い時期こそ行くべき。





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