
更新日:2025/08/10
夏になると、地域のお寺で「施餓鬼法要(せがきほうよう)」が営まれることがあります。
「お施餓鬼(おせがき)って何?」「どんな意味があるの?」と疑問に思っている方のために、今回はこの仏教行事の由来や内容を、やさしくご紹介します。
初盆を迎える場合、施餓鬼法要もセットで行われる場合もあります。
御供養の際に何かの参考になれば幸いです。

施餓鬼って何?

飢えや渇きに苦しんでいる霊魂を供養すること。
施餓鬼(せがき)とは?
初盆 | 施餓鬼 | |
時期 | 没後、初めてのお盆 | 決まりはない |
対象 | 特定の故人の霊魂 | 餓鬼や無縁仏などの霊魂 |
目的 | 故人の冥福を祈り、供養すること | 飢えに苦しむ餓鬼や無縁仏など、あらゆる霊魂を供養すること |
「施餓鬼」とは、餓鬼道に落ちて苦しんでいる霊(餓鬼)に、食べ物や水を施す法要のことです。
お盆の時期やお盆前に営まれることが多く、亡くなった方の供養だけでなく、無縁仏やすべての精霊への供養の意味もあります。
供養をした者には多大な善業が積まれ、その善業は自分自身だけでなく、ご先祖様へ功徳を転用(これを回向という)することができるとされています。
また、普段の供養は特定の故人のためだけに行われますが、施餓鬼会は特定の故人だけでなく、生きとし生けるものといった不特定多数のために営まれます。
この点が施餓鬼供養の特徴です。
施餓鬼の由来
この法要は、釈迦の弟子「阿難(あなん)」の逸話に由来しています。
修行中の阿難のもとに、焔口(えんく)という餓鬼が現われ、「お前の寿命はあと3日。お前は近々餓鬼道に堕ちる」と告げられました。
驚いた阿難が釈迦に相談したところ、釈迦は「食べ物と水をたくさんの餓鬼に施せば救われる」と教えたのです。
お釈迦様が話された通りにすると、多くの餓鬼が救われ、その功徳をもって阿難尊者も寿命を延ばすことができました。
それが「施餓鬼会(せがきえ)」のはじまりとされています。
施餓鬼法要の流れ
私の菩提寺では以下のような流れで行われます:
1.受付:名前を確認し、お布施を渡します。
2.読経:僧侶が施餓鬼法要の時だけの経文を読み上げます。
3.お焼香:参加者がお焼香・水向け(洗米・水を施す)します。
4.法話
施餓鬼旗(せがきばた)は、施餓鬼法要で使われる旗で、参列者に配られ、お守りとしてお墓に飾ったり、お盆の時期には盆棚や仏壇に飾ったりします。
施餓鬼は誰のための供養?
施餓鬼は先祖供養でもありますが、特に「縁のない霊」や「飢えに苦しむすべての霊」に向けた広い意味での供養です。
私たちの見えないところで苦しんでいる存在に思いを寄せ、施す行為そのものが「功徳(くどく)」とされます。
地域によって異なる施餓鬼
たとえば、長野県や岐阜県では檀家が一堂に会して盛大に施餓鬼法要が営まれることも。
一方、都市部では、静かに家族だけで塔婆供養を行うお寺もあります。
私の田舎では、初盆を迎えた檀家が集まって行います。
施餓鬼に参加するときのマナー
●服装は落ち着いた色で(喪服までは不要ですが、派手な色や露出は控えましょう)
●お布施を用意(目安は3,000〜10,000円ほど)
不祝儀袋にお包みします。
袱紗(ふくさ)は必ず必要なものではありませんが、マナーとして持つことをおすすめします。

●スマホをマナーモードに
施餓鬼まとめ:心を施す大切な法要
「施餓鬼」「施餓鬼法要」をご紹介しました。
施餓鬼法要は、ただの年中行事ではなく、見えない誰かに思いを馳せる「慈悲の実践」です。
仏教の精神に触れ、命のつながりや感謝の気持ちを見つめ直す時間にもなります。
もしご縁があれば、地域のお寺の施餓鬼法要に足を運んでみてはいかがでしょうか。
・ブロガー:2021年ブログ開設
・フリーランス:2021年退職し、サイドFIRE
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