
更新日:2026/10/02
2026年9月30日、三菱UFJアセットマネジメントが新たに設定する投資信託「eMAXIS 高配当全世界株式」(以下、オルカン高配当)の運用を開始しました。
新しく発売された「オルカン高配当」は、これまでの「オルカン」と何が違うのか。
本記事では、構成銘柄・リスク・リターンの差を具体的に比較して、向いている人を解説します。
投資戦略の参考になれば幸いです。
1. 通常オルカンとオルカン高配当の違い
| 比較項目 | 通常オルカン | オルカン高配当 |
|---|---|---|
| 連動指数 | MSCI ACWI | MSCI ACWI高配当利回り指数 |
| 構成銘柄数 | 約2,460銘柄 | 約713銘柄 |
| 投資対象 | 世界の大型・中型株を時価総額順に広く保有 | 親指数から 配当利回り1.3倍以上の高配当株を選抜 |
| 主な構成銘柄 |
・Apple ・Microsoft ・NVIDIA ・Amazon など成長株中心 |
・J&J ・P&G ・Exxon ・JPモルガン ・トヨタ など成熟企業中心 |
| 米国比率 | 約62〜65% | 約48.9% (米国比率が低い) |
| セクター構成 | ITが最大(約30%) |
・生活必需品 ・ヘルスケア ・金融 ・エネルギーが多い |
| 信託報酬 | 0.05775%以内 | 0.165%以内 (約2.9倍) |
| 分配金 | 無分配(自動再投資) | ・年4回(配当払出型) ・年1回(資産成長型) |
| 新NISA | つみたて枠・成長枠 | 成長投資枠のみ |
通常オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)

世界の大型・中型株を時価総額順に広く保有。
→ GAFAM・NVIDIAなど成長株が中心。
→ 長期の資産成長(キャピタルゲイン)を最大化する設計。
→ 信託報酬:年0.05775%以内(業界最低水準)
オルカン高配当(eMAXIS 高配当全世界株式)
親指数ACWIから配当利回りが1.3倍以上の銘柄を選抜。
→ 成熟企業・生活必需品・ヘルスケア・金融が中心。
→ 安定した配当収入+比較的マイルドな値動き。
→ 信託報酬:年0.165%以内(通常オルカンの約2.9倍)
→ 配当払出型(年4回)/資産成長型(年1回)の2種類がある。
2. 構成銘柄の違い
●通常オルカン
構成銘柄数:2,460銘柄前後
- 世界の時価総額トップ企業をそのまま保有
- GAFAM+NVIDIAが上位を占める
- 結果として「世界の成長の中心=米国ハイテク」に強く依存
- 値動きは大きいが、長期では高い成長が期待できる
●オルカン高配当
構成銘柄数:713銘柄前後
- 親指数ACWIから配当の持続性・財務健全性(クオリティ)をチェックして選抜
- ハイテク巨大企業はほぼ除外(Apple・Microsoft・NVIDIAなど)
- 生活必需品・ヘルスケア・金融・エネルギーなど「成熟企業」が中心
- 米国比率が下がり、日本・欧州の比率が上昇
- 値動きは比較的マイルドで、下落相場に強い傾向
3. リターンの違い(過去データから)
●通常オルカン
- 過去10年の市場では、米国ハイテクが世界を牽引
- 傾向として、通常オルカンのほうが年率で約3%ほど高いリターンを示す。
- これは、構成銘柄の違いから生じる“成長株の比率の差”が原因。
●オルカン高配当
- 高配当株は「下落に強く、上昇ではやや置いていかれる」傾向
- 長期パフォーマンスは親指数ACWIと概ね同程度(運用会社資料)
- 暴落時に強い年が多い(ACWIがマイナスの年は高配当指数が上回る傾向)
4. 運用コスト(信託報酬)の違い
- 通常オルカン:0.05775%
- オルカン高配当:0.165%(約2.9倍)
例えば1000万円を20年運用すると、 信託報酬の差は数十万円規模になる。
長期積立では「コスト差」は無視できない。
①信託報酬の差は、0.10725%
1000万円 × 0.10725% × 20年
→ 21.45万円(運用益を考慮しない純粋なコスト差)
②運用すると資産が増えるため、差はさらに広がる
年3%運用 → 約38.7万円
年5%運用 → 約56.9万円
→ 現実的には30〜50万円の差が発生
5. どちらがどんな人に向いているか?
◆通常オルカンが向いている人
- 長期で資産を最大化したい人
- 成長株の恩恵を受けたい人
- 値動きの大きさに耐えられる人
- 新NISAのつみたて枠で積み立てたい人
- コストを極限まで抑えたい人
◆オルカン高配当が向いている人
- 定期的な現金収入(配当)を得たい人
- FIRE後・退職後の「取り崩しフェーズ」に入った人
- 暴落時の値動きを少しでもマイルドにしたい人
- 成長株より成熟企業を好む人
- 米国ハイテクへの偏りを減らしたい人
◆特に「配当払出型」が向いている人
- 売却に心理的抵抗がある
- 年金の補完として現金収入が欲しい
- 自動でキャッシュフローを得たい
◆「資産成長型」が向いている人
- 高配当株に興味があるが、分配金は不要
- 世界の成熟企業に長期投資したい
- 通常オルカンより値動きを抑えたい
6. 乗り換えはおすすめか?
結論:「通常オルカン → オルカン高配当」への全面乗り換えはおすすめしない。
理由は3つ:
- 長期リターンは通常オルカンが優位だった期間が長い (米国ハイテクの成長が大きいため)
- 信託報酬が約3倍違う → 長期で効いてくる
- 高配当株は“守りは強いが攻めは弱い” → 資産形成期には不利になりやすい
ただし、「通常オルカン+オルカン高配当」を併用するのは合理的。
- 通常オルカン:成長の取り込み
- オルカン高配当:安定収入・値動きの緩和
という役割分担ができる。
主な販売会社(取扱状況)
| 証券会社 | 取扱状況 | 備考 |
|---|---|---|
| SBI証券 | 取り扱い中 | 9月30日より運用・販売開始 |
| 楽天証券 | 取り扱い中 | 設定日(9月30日)より順次買付可能 |
| マネックス証券 | 取り扱い中 | 初期販売会社としてリストアップ |
| 松井証券 | 10月13日〜 | 2026年10月13日より新規取扱開始(10/9夕方から発注可能) |
| auカブコム証券 | 順次予定 | 公式な開始日の発表は未確認 |
7.まとめ

通常オルカンとオルカン高配当の違いを解説しました。
- 通常オルカン=成長株中心で資産最大化を狙うファンド
- オルカン高配当=成熟企業中心で安定収入を得るファンド
- 信託報酬は通常オルカンが圧倒的に安い
- 高配当は暴落に強いが、成長期には伸びが鈍い
- 資産形成期は通常オルカン、資産活用期はオルカン高配当が合理的
- 併用は十分アリ(性格が異なるため)
投資で大切なのは、「自分が何の為にそのお金を運用するのか」、「運用したお金をどう使うのか」を考える事です。
目的が決まれば、通常オルカンとオルカン高配当の使い分けは自然に決まります。






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