
更新日:2025/09/16
まだまた暑さが続きますが、店頭には今年も新米が並び始めました。
炊きたての香りに季節の移ろいを感じる――そんな日本人の食卓の風景も、今年は少し様子が違います。
2025年の新米価格は、なんと過去最高水準を記録。
高知県産コシヒカリは5kgで4,680円~、ブランド米「よさこい美人」に至っては5kgで5,360円~と、例年の1.5倍以上の価格で販売されています。
毎日食べる主食が“贅沢品”になりつつある今、家計の中で食費が占める割合――つまりエンゲル係数にも大きな影響が出ています。
この記事では、そんな「食費の高騰」が家計に与える影響を、データと実例をもとに読み解きます。
果たして、エンゲル係数の上昇は「日本人が貧しくなった証拠」なのか?
それとも、支出構造の変化なのか?
冷静に、そして実感を持って考えてみましょう。
🧭 はじめに:エンゲル係数とは何か?
■「食料費 ÷ 消費支出 × 100」
「エンゲル係数」とは、家計の消費支出に占める食費の割合を示す指標です。
一般的には、所得が増えると食費の割合は下がるため、エンゲル係数が低いほど「豊かさの象徴」とされてきました。
📈 日本のエンゲル係数は本当に上昇しているのか?

| 年度 | エンゲル係数(2人以上世帯) | 
|---|---|
| 1981年 | 約28.5% | 
| 2024年 | 約28.3% | 
近年、日本のエンゲル係数は上昇傾向にあります。
総務省の家計調査によると、2024年のエンゲル係数(2人以上世帯)は平均28.3%と、1981年以来の高水準を記録しました。
これは43年ぶりの高さであり、物価高騰が家計を圧迫していることを示しています。
果たして「日本人が貧しくなった証拠」なのか、それとも別の要因があるのか?
💰「貧しくなった」のか?それとも支出構造が変わったのか?
エンゲル係数の上昇は、必ずしも「貧困化」を意味するわけではありません。
野村證券の岡崎康平氏は、「食費以外全部沈没」という言葉で、食費以外の支出が減っていることが係数上昇の原因だと指摘しています。
・食費が増えた背景には、インフレだけでなく外食・調理食品の利用増加もある
・女性の社会進出により、時短のため外食や惣菜の需要が増えた
・消費支出が減少しているため、食費の割合が相対的に高くなっている
つまり、「食費以外の支出が沈没している」ことが、エンゲル係数を押し上げている可能性もあるのです。
💡 可処分所得で見るとどうなる?
可処分所得(手取り収入)を分母にしたエンゲル係数で見ると、2024年時点でもそれほど急激な上昇は見られません。
これは、消費支出ベースのエンゲル係数が「生活の余裕」を正確に反映していない可能性を示唆しています。
このように、エンゲル係数だけでは家計の「豊かさ」は測れないという見方もあります。
- エンゲル係数は43年ぶりの高水準だが、必ずしも貧困とは限らない
- 食費以外の支出が減っている「構造的変化」が背景にある
- 相対的貧困率は高く、特に子どもやひとり親世帯に深刻な影響
- 家計の「豊かさ」を測るには、複数の指標と生活実感の両方が必要
🔍 結論:日本人は「貧しくなった」のか?
✅ 貧しくなったといえる点
・実質賃金の伸び悩み
・食料品価格の高騰
・消費支出の減少傾向
給料の上昇以上に物価が上昇し、購買力が低下。
家計の実感としては豊かになっていない状況。
❌ 一概に貧困とは言えない点
○外食・惣菜の利用増加は生活スタイルの変化
○可処分所得ベースでは大きな変化はない
○エンゲル係数の解釈には注意が必要
📣 まとめ:数字の裏にある「生活のリアル」を見よう
エンゲル係数についてご紹介しました。
エンゲル係数の上昇は確かに家計の厳しさを映し出していますが、それだけで「日本人は貧しくなった」と断定するのは早計です。
世界を旅すれば日本が豊かな国であることは間違いありません。
しかし、相対的貧困率の高さや教育・医療格差の拡大は、日本社会の「見えない貧困」を浮き彫りにしています。
かつて「一億総中流(いちおくそうちゅうりゅう)」と呼ばれ、日本国民の大多数が自分を中流階級だと考えていましたが、いまや裕福層と貧困層の二極化が進んでいます。
この記事を読んで、「うちはどうだろう?」と感じた方は、ぜひ家計簿をチェックしてみてください。
エンゲル係数を計算してみることで、自分の生活の質を客観的に把握するヒントになるかもしれません。
※私が2006年から使っている家計簿はこちら
>>
・ブロガー:2021年9月ブログ開設
・趣味:旅行(国内・海外)、食べ歩き、写真撮影
・フリーランス:2021年早期退職し、サイドFIRE
 
 

 
 
 
	 
 
	





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