
更新日:2025/07/11
親が亡くなって不動産(土地や建物)を相続した場合、「名義変更」をする必要があります。
それが「相続登記」です。
2024年4月からは相続登記が義務化され、不動産を相続したら原則として3年以内の相続登記が必要です。
怠ると10万円以下の「過料」の可能性も。
相続登記の義務化は、2024年4月1日以前に相続が開始された不動産にも適用されます。
この記事では、自分で相続登記をしたい人向けに、相続登記申請書の書き方をわかりやすく紹介します。
自分で相続登記するか専門家に任せるか迷っている人の参考になれば幸いです。

「相続登記」って自分で出来るかしら?

やる気されあれば、自分で出来ます。
相続登記の前提:こんなケースです
例:父が亡くなり、母と子ども2人で法定相続する場合(遺言なし・遺産分割協議なし)
- 被相続人:父(登記名義人)
- 相続人:母(1/2)、子ども2人(各1/4)
→ このような「法定相続通り」の登記を申請する場合の流れを紹介します。
登記申請書はどこでもらうの?
「相続登記登記申請書」には、特段決まったフォーマットはありません。
通常は、法務局もしくは法務局のホームページ からダウンロードした雛形を使用します。
「Word」雛形も取得でき、編集が可能です。
今回のケースでは、「所有権の移転」(法定相続)を使用します。
「相続登記申請手続のご案内(法定相続編)」はこちら
※法定相続分によって不動産を相続した場合の相続登記の申請を検討されている方に向けて、分かりやすい資料で申請手続の流れを説明しています。【R6.9.18公開】
登記申請書記入のポイント解説


1. 「登記申請書」のタイトル
用紙最上部中央に「登記申請書」と記載。
2. 登記の目的
被相続人単独所有 → 「所有権移転」
3. 原因
形式:「令和〇年〇月〇日 相続」
死亡日(戸籍記載)を記入し、「相続」と追加します。
4. 被相続人・相続人
被相続人:故人の氏名を記載
相続人:申請人としての氏名・住所・電話番号、認印(印)も忘れずに。
5. 添付情報
「登記原因証明情報」「住所証明情報」と記載。
6. 申請日・申請先法務局名
「令和◯年◯月◯日申請 ○○(地方法務局/支局/出張所)」と記入。
提出先は、登記する不動産が所在する土地を管轄する法務局です。
7. 課税価格・登録免許税

課税価格
固定資産評価額から計算。
固定資産評価額は、「固定資産税課税明細書」又は市町村役場から毎年6月に送付される「固定資産税納税通知書」に記載されており、最新年度のもので確認します。
登記申請における固定資産税評価証明書の切替えの基準となるのは「毎年4月1日」
登記する不動産が複数ある場合は、合算した後、千円未満を切り捨てます。
登録免許税
課税価格×0.4%、百円未満で切り捨て。
窓口提出か郵送の場合、登録免許税と同額の収入印紙を、登録免許税印紙貼用台紙に貼ることで納税します。
また、銀行などの金融機関で登録免許税に相当する金額を納付し、その領収書を登記申請書に貼り付けて申請することもできます。
8. 不動産の表示
■土地 → 不動産番号、所在、地番、地目、地積
■建物 → 不動産番号、所在、家屋番号、種類、構造、床面積 を記載。
記入ポイントまとめ
項目 | 解説 |
---|---|
①様式タイトル | 「登記申請書」と記載します。 |
②登記の目的 | 「所有権移転」と書くのが基本 |
③原因 | 被相続人の死亡日+「相続」 |
④相続人 | 相続を受ける人の氏名と住所 |
⑤添付情報 | 「登記原因情報」「住所証明情報」と記載します。 |
⑥申請日・宛先 | 「令和◯年◯月◯日申請 ○○(地方法務局/支局/出張所)」と記入。 不動産の所在地を管轄する法務局名を記載。 |
⑦課税価格・登録免許税 | 固定資産評価証明書を参考に登録免許税を計算(0.4%) |
⑧不動産の表示 | 登記事項証明書(登記簿)通りに正確に記載 |
登記申請書記入時の注意点
●申請書上部には5~7センチ程度の余白を作る。(※受付シールを貼るスペースになります)
●印鑑は認印でOK。
●不備への対応用に、日中に連絡がつく電話番号を記載すると安心。
●各相続形態によって書き方が変わるため、該当例をよく確認。
よくある質問(Q&A)
Q. パソコンで作ってもいいの?
→ 手書きでもパソコン作成でもOKです。
雛形を利用した方が、手書きよりも見やすく、訂正もしやすいです。
白いA4サイズの紙を使用します。縦置き・横書き。
Q. 登録免許税ってどこで払うの?
→ 登録免許税を納付する場合には、原則として現金を国(税務署等)に納付し、その領収証書を登記の申請書に貼り付けて提出します。
しかし、登録免許税の額が3万円以下である場合その他特別の場合には、「収入印紙」を申請書に貼り付けて提出することによって納付することができます。(登録免許税法22条)
これらの領収証書又は収入印紙を申請書に貼り付けるには、別葉の白紙(収入印紙貼付台紙)に貼り付けてこれを申請書とともにつづり、申請書と白紙との間に契印をします。
Q.登記申請書の綴じ方は?


登記申請書と収入印紙貼付台紙を重ねて、左側の余白のところを2ヵ所ホチキスどめします。
登記申請書が2枚以上有る場合は、書類に「契印」を押します。
続いて、ホチキスどめした「登記申請書+収入印紙等貼付台紙(上質紙)」の後に、必要書類(添付情報)をまとめて、クリップで挟みます。
Q. 添付書類の「戸籍謄本」はコピーでもいい?
→ 原本が必要です。ただし一部は返却を希望することも可能です。
相続登記に必要なもの【ざっくり】
大まかに必要になる書類はこちら。
- 相続登記申請書(←この記事で解説)
- 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)
- 被相続人の住民票の除票
- 相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書の写し
- 住民票の写し(相続人の住所証明)
- 遺産分割協議書(複数人で相続する場合)もしくは遺言書
- 不動産の登記事項証明書・固定資産評価証明書
- 登記用の収入印紙(登録免許税)
原本還付請求の方法
原本還付は、原本とその写し(コピー)をセットで窓口に提出することで原本を返却してもらう仕組みです。
返却してもらいたい書類のコピーをとる
原則として全てのページを原寸大でコピーします。
コピーの余白部分に「原本と相違ありません」と記載
コピーの余白部分に「原本と相違ありません」と記載し、申請人が署名捺印。
申請書に押印したものと同一の印鑑で捺印します。
コピーした書類が複数枚あるときには、1枚目に上記処理を行い残りの書類のつづり目ごとに「契印」します。
作成したコピーと原本を一緒に提出します。
次のステップ
登記申請書が出来上がったら、添付書類・収入印紙台紙等をセットして最終確認。
管轄の法務局に持参 or 郵送します。
可能であれば、直接持参がおすすめ。
窓口でチェックしてもらえるので、心配な人はその場で収入印紙を貼ってもOK。
登記完了書類受取
相続登記完了後に交付される書類は、
・登記完了証
・登記識別情報通知書
・その他(還付書類)
登記内容が間違っている場合もあり得るため、登記内容を自分で確認しましょう。
法務局の窓口で受領
登記申請書に押印した印鑑(これ以外の印鑑では受領できません)及び運転免許証などの身分証明書を持参して、窓口で受領します。
郵送等により受領

法務局に受取に行けない時は、あらかじめ「返信用封筒」を用意しましょう。
角形2号の封筒に返送用切手を貼り、登記申請書と一緒に提出します。
切手代は、最低料金として
・定形外郵便(規格内)50g以内 140円
50g以内 | 140円 |
100g以内 | 180円 |
150g以内 | 270円 |
250g以内 | 320円 |
500g以内 | 510円 |
1kg以内 | 750円 |
・一般書留 480円
・本人限定受取郵便の加算料金 270円 合計 890円

登記申請書まとめ
相続登記申請書の書き方をご紹介しました。
相続登記申請書は、決まった形式に沿って記入するだけなので、ポイントさえ押さえれば個人でも十分に作成できます。
ただし、不動産情報や添付書類に間違いがあると、補正対応(書き直し)になることもあるため、必ず見本や法務局HPの情報と照らし合わせながら作成することが重要です。
可能であれば、市町村が行っている「司法書士無料相談」等を利用して事前に相談すると安心です。
手間暇かかりますが、焦らずに一つずつ作業しましょう。
おまけ:こんなときは司法書士に相談!
御自身で手続を進めることが難しいと感じられる場合には、専門家である司法書士・土地家屋調査士へ依頼することもご検討ください。
- 相続人が多い
- 不動産が複数ある
- 遺産分割協議がうまくいっていない
\自分でできるところは自分で。必要なときだけ専門家へ/
・ブロガー:2021年ブログ開設
・フリーランス:2021年退職し、バリスタ(サイド)FIRE
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