
更新日:2025/08/10
近年、注目を集める不動産小口化商品「みんなで大家さん」。
あなたも一度くらいは広告を見たことがあるかも知れません。
1口100万円から始められる手軽さと、年利6~7%前後という高利回りが魅力ですが、決してノーリスクではありません。
むしろ、近頃の分配金遅延の報道を見る限り、高いリスクを抱える商品でもあります。
本記事では、「みんなで大家さん」の投資リスクについて、最近の状況を交えながら紹介します。
投資する際の参考になれば幸いです。

「みんなで大家さん」に投資して大丈夫ですか?

リスクをよく考えて。
「みんなで大家さん」とは?
「みんなで大家さん」は、都市綜研インベストファンド株式会社が販売・運営する不動産投資商品です。
不動産を小口化し、投資家から資金を集めて運用し、その収益を分配する仕組みです。
2021年2月以来18本のファンドを組成。
■シリーズ成田18号
- 想定利回り7.0 %
- 運用期間5 年
- 申し込み1口100 万円
物件名:成田空港周辺開発プロジェクト用地
募集総口数:15,368口
営業者 | 〒530-0003 大阪府大阪市北区堂島一丁目1番5号 都市綜研インベストファンド株式会社 代表取締役 栁瀨 健一 |
販売代理人 | 〒102-0084 東京都千代田区二番町12番地3 みんなで大家さん販売株式会社 代表取締役 栁瀨 鳳憲 |
お問い合わせフォーム:
https://go.minnadeooyasan.com/l/272762/2019-05-19/2gg4jl
開発許可を受けているのは、不動産会社「共生バンク」
【最新情報】分配金が遅延中(2025年7月)
2025年7月31日、運営会社の「都市綜研インベストファンド株式会社」および販売会社「みんなで大家さん販売株式会社」が、出資者にメールで通知しました。
対象は「シリーズ成田1号〜18号」の全18商品で、7月末に予定されていた分配金の支払いが一時的に遅延するとのことです。
『みんなで大家さんシリーズ成田』分配金支払遅延に関するお詫びと今後について
これは投資家にとって重大な信用不安であり、運用実態や資金繰りに疑問を持たざるを得ません。
一部報道では、グループ内のテナントからの賃料収入が滞っていることが主因。
偶数号は2025年4月以降、奇数号は5月以降支払いがないと報告されています。
当該テナントはグループ会社であり、調達計画に重大な支障が生じたとされています 。
🔜 再開見通しと影響

運営側は、行政処分およびレピュテーションの影響もあって事業計画が遅延していると説明。
早ければ2025年8月に分配金支払いの再開を目指し、不動産資産の売却や資金調達の動きを進めているとのことです。
想定利回り7%で資金を集めていたものの、今回の分配金遅延は初めての事態。
「ゲートウェイ成田」構想


問題の「ゲートウェイ成田」構想は開業延期が続いており、工事進捗も停滞中です。
2025年1月時点の工事進捗(しんちょく)状況は、土木工事に対する進捗度が69%、建築工事は0%、全体は2%だった。
■開発経過
土地の面積は約45・6万平方メートル。
2019年10月、成田市が東京都千代田区の不動産会社「共生バンク」の申請に基づき、開発許可を出した。
全体の約4割は政府が100%出資する成田国際空港会社が所有しており、2020年9月、共生バンクに年間賃料額約1800万円で貸す契約を結んだ。
■今後の開発予定
造成工事の完了を今年(2025年)秋、施設の一部開業を2027年冬としていますが、公表されている写真を見れば、どう考えても無理でしょう。
東京ドーム約10個分の広大な敷地に一体どんな施設ができるのでしょうか?
計画では、巨大ドームや成田エリア最大級の客室を含めた複合施設を建設するようですが、まだ事業費は確保されておらず、これからさらに7,000億円程度の債券を発行するようです。
主要建物:商業複合施設、ランニングトラック、デジタルドーム、ホテル、冷凍貯蔵倉庫、フードテックR&D開発拠点(国際展示場、国際会議場、キッチンスタジオを含む)、バスターミナル、駐車場棟等
- 造成工事:2025年10月完了予定
- 建設工事:2026年3月着工予定
- 開業予定:2027年冬一部開業後、随時OPEN予定
みんなで大家さんの問題点
①テナント賃料がグループ会社から未払い
- 成田シリーズ(1〜18号)のテナントが、4月・5月以降、賃料をまったく支払っていない。
- しかもそのテナントは運営元のグループ企業=自社内の資金循環が破綻している。
👉 これはキャッシュフローの破綻が顕在化している重大サインです。
②分配金が期日通りに払えない=契約不履行状態
- 2025年7月末分配が突然遅延通知。
- 「早ければ8月再開」としていますが、資金調達の目処は不透明。
👉 これは「事業継続能力(going concern)」に疑義がある状況です。
③行政処分歴あり(2024年6月)
- 販売会社「みんなで大家さん販売株式会社」は、2024年6月に不適切な勧誘行為等で大阪府と東京都より行政処分(業務停止命令)を受けています。
処分の理由は不動産特定共同事業法(不特法)違反。
都市綜研に対する行政処分は2012年、2013年に続き3度目。 - 金融庁ではなく国土交通省の監督下にあるため、監視体制は甘めとはいえ、処分は異例です。
👉 経営ガバナンスや内部統制にも疑義。
④外部からの資金調達や売却が進んでいない

「資産売却」や「融資交渉」を進めているとしていますが、
- 公表されている範囲では具体的な進展報告がゼロ。
- 成田の開発案件は、そもそも採算性や収益性に疑問があり、買い手がつかない可能性も。
👉 不動産ファンドで出口戦略が見えない=危険信号。
⑤投資家保護が限定的なスキーム「匿名組合(とくめいくみあい)」

「みんなで大家さん」の商品は、匿名組合契約をベースに組成されているケースが多く、投資家には不動産の直接所有権がありません。
- 出資者は不動産の所有権を持っておらず、事業への出資という形式。
- 仮に倒産しても、出資金は債権者より劣後の扱い。
- 裁判などで回収できる可能性は非常に低く、実質的に元本回収不能になるリスクが高い。
都市綜研インベストファンド令和7年3月31日賃借対照表
2025年3月期の負債総額は、出資金の約2,035億円を含めて3,098億円に達している。
資産合計は3,200億円。
手持ちの現金は55億。
仮に集めたお金2,000億に7%の金利を払うと、利息だけで年140億必要。
一月当たり利息は、11.7億ぐらい。
✅ 情報まとめ

項目 | 内容 |
---|---|
対象商品 | 成田1号~18号(全18商品) |
支払遅延 通知日 | 2025年7月31日 |
主な理由 | テナント(グループ会社)からの賃料不払い |
運営側対応 | 不動産売却・資金調達を進行中 |
分配金再開予定 | 早ければ2025年8月中を見込むが未確定 |
集めた資金規模 | 2,000億程度 |
過去の行政処分 | 2024年6月に業務停止命令あり |
今後、2025年10月には約7000億円規模の債券発行を完了させ、年内には、成田プロジェクトの開発事業予算の確保をめざすらしい。
つまり、2025年8月10時点で、予算は確保されてない。
信頼できる相談先とは?
分配金が遅れるような事態は、資金繰りや事業運営に重大な問題がある兆候です。
不安がある方は、以下の機関に相談することをおすすめします。
金融サービス利用者相談室(金融庁)
0570-016-811
消費生活センター
188(局番なしでOK)
弁護士会の法律相談
地域の窓口にて
※福岡県の場合はこちらから
「みんなで大家さん」まとめ
評価項目 | 状況 | 備考 |
---|---|---|
分配金支払い | 遅延 | 契約不履行リスク |
賃料収入 | 滞納 | グループ内でも支払い不能 |
財務情報 | 非公開 | 実態不明、信用調査でも不安あり |
資産売却 | 進捗不明 | 出口戦略不透明 |
行政処分 | あり | 信頼低下、販売活動制限中 |
「みんなで大家さん」の分配金遅延問題を紹介しました。
「みんなで大家さん」は、魅力的な利回りをうたう一方で、運用の透明性や分配の安定性、法的な保護の面では大きな不安が残ります。
事業が継続されるかどうか2025年11月末が一つの期限となりそうです。
今後、出資者向けの説明資料・IR情報の補完があるか注視してください。
投資先として検討する場合は、必ず最新の情報や運営実態を調べ、契約書を読み込み、自分のリスク許容度に合っているかを慎重に判断しましょう。
・投資家:日本株投資歴40年
・ブロガー:2021年ブログ開設
・フリーランス:2021年退職し、バリスタ(サイド)FIRE
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