更新日:2024/07/19
あなたはお酒好きですか。
かつてお酒は「百薬の長」とも言われ、飲み過ぎは良くないけれど少量のアルコールなら健康に良いとする話もよく聞かれました。
例えば「赤ワインを適量飲めば健康に良い」と考える人も少なからずいるはず。
但し、その話はもはや過去のものとなりつつあるようです。
今回は2023年1月4日に発表された世界保健機関(WHO)のニュースリリースについて解説します。
喫煙が健康に良くないのと同様、飲酒も健康を害するようです。
お気をつけください。
お酒って健康に良いの?
少量でも安全じゃないみたい。
WHOがアルコール摂取警鐘
2023年1月4日、世界保健機関(WHO)は、「いかなる量のアルコール摂取であっても、健康にとって安全ではない」と題する
ニュースリリースを発表しました。
No level of alcohol consumption is safe for our health
※ChatGPTによる日本語訳はこちら。
>>【ChatGPT】何それどうやって動くの?初心者向け始め方と注意点
『長年にわたり、アルコール摂取に関連するリスクと害は体系的に評価され、十分に文書化されています。
世界保健機関は現在、The Lancet Public Healthに声明を発表しており、アルコール摂取に関しては、健康に影響を与えない安全な量は存在しないことが示されています。
害を引き起こすのはアルコールであり、飲料自体ではありません。
アルコールは有毒で、精神作用があり、依存を引き起こす物質であり、数十年前から国際がん研究機関によって第1群発がん物質に分類されています。
これは最も高いリスクグループであり、アスベスト、放射線、たばこなども含まれます。
アルコールは、大腸がんや女性の乳がんなど、少なくとも7種類のがんを引き起こします。
エタノール(アルコール)は体内で分解されるため、価格や品質に関係なく、アルコールを含む飲料すべてにがんのリスクがあることを意味します。
がん発症のリスクは、摂取するアルコールの量が増えるほど大幅に高まります。
しかし、最新の利用可能なデータによると、WHO欧州地域におけるアルコール由来のがんの半数は、「軽度」または「中等度」のアルコール摂取-週に1.5リットル以下のワイン、または3.5リットル以下のビール、または450ミリリットル以下のスピリッツ-によって引き起こされます。
この飲酒パターンは、女性のアルコール由来の乳がんの大部分を担当しており、EU諸国で最も大きな負担が見られます。
EUでは、がんが死因の主要な原因であり、発生率が着実に増加しており、すべてのアルコール由来の死亡の大部分はさまざまな種類のがんによるものです。
最初の一滴からリスクが始まります。
「安全な」アルコール摂取量を特定するためには、有効な科学的証拠が必要であり、あるレベルで、アルコール摂取に関連する病気や怪我のリスクがないことを示す必要があります。』
アルコールとがん
世界保健機関(WHO)は、飲酒は頭頸部(口腔・咽頭・喉頭)がん・食道がん(扁平上皮がん)・肝臓がん・大腸がん・女性の乳がんの原因となると認定しています。
アルコール飲料中のエタノールとその代謝産物のアセトアルデヒドの両者に発がん性があり、少量の飲酒で赤くなる体質の2型アルデヒド脱水素酵素の働きが弱い人では、アセトアルデヒドが食道と頭頸部のがんの原因となるとも結論づけています。
アルコールによる健康障害 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト
アセトアルデヒドは「DNAにダメージを与え、体がダメージを修復するのを妨げる」という両方の作用がある。
「DNAがひとたび傷つくと、細胞は無秩序に増殖し、悪性腫瘍ができる可能性がある」という。
がんって何?
人間の体は、約60兆個の細胞で成り立っています。
その数は新しい細胞の誕生と古い細胞の死によって一定に保たれています。
このサイクルの中で遺伝子に傷が付き異常な細胞ができて増殖したものを「がん」といいます。
また、がんは3つの特徴を持っており、どんどん増えていきます。
その結果命に関わるため「悪性腫瘍」とも呼ばれます。
「悪性腫瘍」と「がん」はほぼ同義で、「悪性腫瘍」の方が「がん」より幅広い概念です。
「がん」のなかで、皮膚や胃・腸の粘膜など上皮性細胞から発生した悪性腫瘍を「癌」といいます。
日本人のためのがん予防法(5+1)
国立がん研究センターの研究班は、日本特有の生活習慣、さらにはウイルスや細菌の感染への配慮を踏まえて、科学的根拠に基づいた「日本人のためのがん予防法」を提案しています。
喫煙
たばこは吸わない。他人のたばこの煙をできるだけ避ける。
飲酒
飲むなら、節度のある飲酒をする。
食事
食事は偏らずバランスよくとる。
* 塩蔵食品、食塩の摂取は最小限にする。
* 野菜や果物不足にならない。
* 飲食物を熱い状態でとらない。
身体活動
日常生活を活動的に。
体形
成人期での体重を適正な範囲に。
感染
・肝炎ウイルス検査と適切な措置を。
・機会があればピロリ菌感染検査を。
・該当する年齢の人は、子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の定期接種を。
アルコールとがんまとめ
飲酒を健康面から考えると、少量ならば有益とする根拠が乏しく、飲酒が関連する発がんでは安全な飲酒量は示されていません。
ビール1缶(500ml)/日 のアルコール摂取でも健康にとって悪影響を与えるリスクがあります。
アルコール摂取で乳がんのリスクが上昇することは、日本の研究でも指摘されていますが、はっきりとした機序は不明です。
今や日本人のうち2人に1人は何らかのがんになる時代です。
「日本人のためのがん予防法」に取り組めばがんになるリスクを減らすことができます。
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