【スフィア基準】日本の避難所はソマリアの難民キャンプより酷いは本当か

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更新日:2024/02/01

甚大な被害をもたらした能登半島地震から1ヶ月。

2024年1月31日時点で1万4643人が避難生活を送り、うち9557人(65%)が今も体育館や集会所といった1次避難所305カ所に身を寄せています。

紛争や災害時の避難所に関し、国際赤十字が最低限の水準を定めた『スフィア基準』があるのをご存知でしょうか。

日本の避難所はスフィア基準にほど遠く“ソマリアの難民キャンプよりひどい”と言う人もいるぐらい、極めて劣悪と世界から指摘され続けています。

恥ずかしながら私は今回初めて『スフィア基準』なるものを知りました。

災害を生き延びたあとの避難所で、人が死なないためにはどうすればいいのか。

スフィア基準を参考にしながら日本の実情に即した方法を考えていきましょう。

日本の避難所はソマリアの難民キャンプより酷いの?

管理人
管理人

ソマリアの難民キャンプを知らないから何とも言えない^^;

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スフィア基準とは?

スフィア基準(スフィアスタンダード)とは、災害や紛争の被災者に対する人道支援活動のために策定された、「人道憲章と人道対応に関する国際的な最低基準」の通称。

事の発端は、1994年東アフリカのルワンダで起こった大虐殺(ジェノサイド)。100日で50万~100万人、人口の10%から20%が虐殺されたと言われています。

その後、国連やNGOが支援活動にあたりましたが、支援に入ったにもかかわらず、死亡者が8万人以上もでてしまったとのこと。

原因を分析してわかったことは、支援が「場当たり的」で「調整不足」で「説明が足りなかった」。

そしてこれらの課題を解決するために、スフィアプロジェクトが立ち上がり、支援の最低基準が作成されました。

1997年に初版が作られ、現在は2018年版が最新。

スフィア基準は、被災者と支援者に対する2つの基本理念に基づいています。

・災害や紛争の影響を受けた人びとには、尊厳ある生活を営む権利があり、従って支援を受ける権利がある

・災害や紛争による苦痛を軽減するために、実行可能なあらゆる手段が尽くされなくてはならない

日本人のとって「権利」はあまり馴染みがない言葉ですが、

日本国憲法第二十五条は、

(1)「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」

(2)「国は、すべての生活部面について社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」 と規定しています。

権利を主張することは「わがまま」ではありません。

スフィア基準の内容

必須基準として9つのコミットメントから構成されている。

1.ニーズに合った支援を受けられる。

2.必要な時に必要な人道支援を受けられる。

3.負の影響を受けることなく、よりよい備えや回復力(レジリエンス)を得て、より安全な状
態におかれる。

4.自らの権利や保障されるべき内容を知り、 必要な情報を確保でき、 自身が関係する事柄の意思決定に参加できる。

5.安全に苦情や要望を述べることができ、迅速な対応を受けられる。

6.関係団体の間で調整され、それぞれが専門分野を補いあいながら過不足のない支援を受けられる。

7.支援組織が経験や振り返りから学ぶことで、より良い支援が提供されることを期待できる。

8.必要な支援を、十分な能力のある管理の行き届いた職員やボランティアから受けられる。

9.資源が支援組織によって効果的、効率的、倫理的に管理されることを期待できる。

支援の方法

技術的なことが書かれている4つの章。

「給水、衛生および衛生促進」「食料安全保障および栄養」「避難所および避難先の住居」「保健医療」の4つに分類。

給水、衛生および衛生促進

飲料水と衛生的な生活に必要な水の平均量を「1人1日最低15L」、最大利用者数を「蛇口1つにつき250人」としている。

トイレについては、20人につき最低1つ設置、男女比は1:3が必要とされている。

一般的にトイレにかかる時間が、女性は男性の3倍の時間が必要になるから

住居と共用トイレの間の距離は、50メートル以内。

内側から施錠でき、適切な照明がついているトイレを。

女性や少女が安全だと感じることのできるトイレを。

スフィア基準は、数値にこだわることなく、みんなが「いつでも安心して使える」トイレを設置する努力を続けることを目指しています。

避難所および避難先の住居

1人あたりのスペースは、最低3.5平方メートル確保すること。

3.5平方メートルはおよそ2畳分。寝返りをうったり、スペースを保ったりするために最低でもこのくらいは必要だとされています。

日本の避難所では、寝返りがうてないほどだったり、避難所を利用したくてもスペースがなくて入れないという状況もあります。

今回の能登半島地震で「ビニールハウス避難所」のニュース映像をみた人も多いと思いますが、想像を絶する寒さだった思います。

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災害関連死

内閣府が災害関連死を次のように定義付けたのは、2019年(平成31年)4月。

当該災害による負傷の悪化又は避難生活等における身体的負担による疾病により死亡し、災害弔慰金の支給等に関する法律(昭和48年法律第82号)に基づき災害が原因で死亡したものと認められたもの

内閣府の定義にある〈災害弔慰金〉とは市町村からの見舞金で、生計を担う人の場合は500万円、それ以外は250万円が支給される。

自治体は、申請された死に災害が影響しているかを検証する審査委員会を開く。そこで、災害と関連性があるとされれば、災害弔慰金が支払われ、災害関連死と認められる。

平成28年の熊本地震で「災害関連死」と認定された人は221人。これは建物の倒壊など地震の直接の影響で亡くなった50人の実に4倍以上です。

地震そのものは今の科学技術をもってしてもいかんともしがたく、自然災害を防ぐことは不可能。

だとしたら、私たちにできることは、地震後の避難生活が原因で亡くなる人を少しでも減らすことです。

スフィア基準まとめ

紛争や災害時の避難所に関し、国際赤十字が最低限の水準を定めた『スフィア基準』を紹介しました。

「スフィア・ハンドブック」日本語版

「スフィア(sphere)」とは、英語で「球体」を意味します。

球体、つまり地球のどこでも使えるようにという思いを込めて作られた国際基準だそうです。

世界第3位の経済大国であり先進国であるはずの日本で、そのような意味が込められた最低限の基準すら満たしていない避難所が数多くある。

この事実をあなたはどう感じますか?

災害大国にもかかわらず、日本はいまだ、物的、人的な支援システムが整備不十分と言わざるを得ません。

「災害時はみんな大変だから、我慢するのは当たり前」 こうした考えは、日本人の美徳とも言われてきました。

しかしそうした考え方では、災害関連死は減りません。

今回の地震について、石川県が想定される地震として地域防災計画に示していたのは27年前のもので、規模が小さく「ごく局地的な災害で災害度は低い」と評価し、建物全壊は120棟、死者7人、避難者は約2800人と試算していました。

また道路の寸断は東日本大震災でも大きな課題となったため、国が中心となって応急復旧などの手順を定めた「道路啓開計画」を立てることが求められていましたが、国土交通省北陸地方整備局だけが策定していませんでした。

「道路啓開(けいかい)」とは、災害発生時に本格的に道路が復旧する前、緊急車両などを通行させるため、最低限のがれきや土砂の処理で救援ルートを設けること。

つまり地震に対して何も備えをしてこなかったのです。

災害を生き延びたあとの避難所で、人が死なないためにはどうすればいいのか。

その答えは『スフィア基準』を活かして、事前に十分な準備をしておく仕組みに変えていくこと。

これしかないと思います。

現状のまま、南海トラフ地震や首都直下地震が発生したらどうなるのか……。

あなたの住む自治体にどれぐらいのテントや簡易ベット、トイレが備蓄してあるでしょうか。

支援無しで3日間、あなたは生き延びることができますか。

 

この記事を書いた人 文貴(fumitaka)


・ブロガー:2021年9月ブログ開設

・趣味:旅行(国内・海外)、食べ歩き、写真撮影
  


 

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